Treatment

診療案内

研究グループ

てんかん・機能グループ

当研究グループは、てんかん活動や脳機能把握、また新たな治療につながる臨床・基礎研究を行っています。

基礎研究

広島国際大学と共同で迷走神経刺激によるてんかん現象制御の基礎的研究を進めています。迷走神経刺激療法はペースメーカーのような刺激装置を皮下に埋め込み、迷走神経を電気的に刺激することで、てんかん発作の頻度減少・緩和を目的とする治療方法です。ヒトの難治性てんかんに対して本邦含め、広く世界で行われておりますが、どのようにしてその抗てんかん作用を発揮するかは分かっていません。当研究室では迷走神経刺激モデルラットを作成(図1)、免疫組織染色を行い(図2:青斑核での急性刺激、慢性刺激によるc-fos発現)、迷走神経刺激療法の作用機序の解明を目指した研究を行っております。迷走神経刺激に関わる神経核とそのネットワークを明らかにし、より高い発作抑制効果を発揮する新たなニューロモデュレーション療法の可能性を探ります。現在までの成果を全国学会で発表するとともに論文にて報告しました(Epilepsy Res, 2019)。

図1

図2

臨床研究

当院は脳磁図(MEG)が稼働している中国・四国地方では唯一の施設です。脳磁図は脳実質の活動によって生じた磁場を計測するもので、髄液や頭蓋骨、頭皮などによる信号減衰の影響を受けません。また、脳波と比較してセンサーの数も多いため空間分解能が優れています。当グループでは、これまで脳磁図解析方法の開発や工夫を行うことにより、てんかん焦点診断の精度向上や、様々なてんかん病型におけるてんかん活動の評価につながる研究を進めています。当グループが独自に開発した傾斜磁場トポグラフィ(GMFT)は、傾斜磁場を三次元脳表上に投射したもので、全脳領域におけるてんかん活動を1ミリ秒ごとに解析できます(Brain Res, 2007)。これまで、新皮質てんかんの焦点診断にGMFTが有用であること(Epilepsy Res, 2010)、GMFTを用いることで脳梁離断術後や迷走神経刺激療法(VNS)の発作転帰予測が可能であることなどの報告を行いました(Clin Neurophysiol, 2016, , Epilepsy Res, 2020)。また、従来、全般てんかんに分類されている若年ミオクロニーてんかんにおいてGMFT解析を行い、特定の皮質領域に限局した活動が連鎖的に認められることを見出しています(図3)。

図3
若年ミオクロニーてんかんにおけるてんかん活動のGMFT解析。両側前頭葉および頭頂葉(F1, F2)から連鎖的に活動が生じ、脳全体へと広がっていくのが観察できる。

脳腫瘍グループ

広島大学脳腫瘍グループの研究の柱は以下になります。

  • 新規画像診断法の確立と遺伝子パネル開発によるradiogenomics

  • 血液・髄液中のsmall RNA解析による新規腫瘍マーカー確立

  • バイオマーカーの探索と核酸医薬開発

  • 脳腫瘍の長期フォローアップ研究

悪性脳腫瘍は最も遺伝子診断が進んでいる「がん」であると言えます。一方で、悪性脳腫瘍は、遺伝子診断に基づいた分子標的薬の開発が最も遅れています。その理由として、「遺伝子診断で発見された異常は本当の標的ではなく、別の標的が隠れている」「標的以外の遺伝子変化が起こり、すでに標的でなくなっている」「血液脳関門が存在して薬が届かない」など、様々な原因が考えられています。これらを克服するために多くの研究が行われていますが、未だ解決できていない問題がたくさんあります。そのため、悪性脳腫瘍は最も難治な「がん」に分類されます。広島大学では常に臨床を見据え、悪性脳腫瘍に対する臨床疑問を解決し、日々の診療が少しでも改善する研究に力を注いでいます。また、最先端の遺伝子パネル開発(小児外科:檜山研究室と共同)や核酸医薬開発(薬学部:田原研究室と共同)を通して、悪性脳腫瘍治療のブレイクスルーを目指しています。研究には情熱と若い力、新しい力が欠かせません。広島大学で一緒に悪性脳腫瘍の研究を行ってくれる若手医師・研究者を募集しています。

脳腫瘍グループの論文/教科書の発表数

神経再生研究グループ

当研究グループは、神経再生研究として古くから間葉系幹細胞に着目し、様々な中枢神経障害への治療につながる基礎研究、およびそれを発展させた臨床研究を行っています。間葉系幹細胞はヒトの血液や骨髄、脂肪組織など様々な組織から樹立することが可能で、自己複製能や骨、脂肪、神経などへの多分化能を有することが知られ、再生医療分野で注目されています。

ヒトの頭蓋骨より樹立した間葉系幹細胞

当研究グループでは、独自にヒトの「頭蓋骨」から間葉系幹細胞を樹立することに成功し、他の部位より樹立した間葉系幹細胞と比較して、神経堤由来である特徴が細胞療法のソースとして、神経再生により有効であることを報告しています。我々は同じキャンパス内の生体環境適応科学(弓削研究室)と共同研究を行っており、この頭蓋骨由来間葉系幹細胞を神経疾患モデルに投与して、神経再生効果・保護効果を確認し報告しています。現在種々の中枢神経障害モデルに対して、頭蓋骨由来間葉系幹細胞投与による治療開発や、その作用機序の解明のために研究を行っています。

脳梗塞モデルへの移植効果

脊髄損傷モデルへの移植効果

さらに、これまでの研究成果をもとに臨床応用を目指し、2017年にベンチャー企業と共に共同研究チーム『HUMAN project』(Hiroshima University Mesenchymal Stem Cell Application for Neuro-Regeneration project)を立ち上げました。現在、projectの一環として頭蓋骨由来間葉系幹細胞の臨床応用を目指し、中等症以上の脳梗塞患者自身の「頭蓋骨」から間葉系幹細胞を樹立培養して静脈投与することで、脳梗塞治療における、頭蓋骨由来間葉系幹細胞投与の安全性と有効性を検証する第二種再生医療臨床研究を行っています。

『HUMAN project』の研究概要

当研究グループは患者さんに笑顔を与えられるような、新しい治療方法の確立を目指し、日々研究を進めております。興味のある方は、ぜひ一緒に世界に向けて新たなエビデンスを発信していきましょう。

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